2019/10/06 01:41

いつもありがとうございます。
三味線 結(ゆい)の布施です。

さて、ついに10月が到来しましたね!
まるで自分が著書になったかのごとく進む読書、
止まらない食欲、
朝、1枚羽織って出掛けたのに日中はそれを脱いでしまう感じ、
やがて訪れる夕焼けの空とうろこ雲…。

そう、秋です。

そのつもりが、まだ日中はまあまあ暑いですね。
早く本格的な秋が来てくれないと、あっという間に冬が来てしまいます。
秋から一番遠い冬が来てしまうんです。
それは寂しいのですが、状況はどうであれ1日1日を噛み締めていたいな~と思っています。

はい。

今回はいつになく、否、いつもよりマジメなことを書こうかと思っています。
東日本大震災のことを書きます。
先を読まれるかどうかはご自身で決めてくださいね。







これを読んでくださっているあなたは、ご自身の生き方の轍において何を残そうとしていますか?
私は、三味線に携わる事業者として、三味線を媒介にして関わってくださる方の役に立ちたい、
社会に何かひとつ価値があるものを残せるようになりたいと常に考えています。

こんなふうに考えるようになったきっかけはいくつかあるのですが、
今思い返してみて一番最初に出てくるのは東日本大震災です。
私は当時も神戸市に住んでいたので被災したわけではありません。

あっという間に当たり前だと思っていた日常がなくなる。
いることが当たり前だと思っていた人がいなくなる。
明日から、なんて生ぬるいものではなく、1分1秒後にはどうなるかわからない…。

テレビで見るあまりにも凄惨な現実に、
そう思わずにはいられませんでした。

そんな人たちの心情を思いながらも、何もできない自分がいる。
自分にできることは何だろう?という問いから何年か経ち、
ひとつご縁を頂きました。

それは、プロジェクト伝という団体の代表の方との出会いを頂いたことでした。

お電話だけでのやり取りでしたが、内容をざくっと言うと、
・プロジェクト伝とは岩手県釜石市にて立ち上げられた被災地復興のプロジェクト
・復興支援物資として全国から届いた毛糸で津軽用の指掛けをつくったので販売に協力して欲しい
というものでした。
(他にもたくさんのイベントをされたり、ものづくりもされています。素晴らしいのでお伝えしたいのですが今は割愛させて頂きます)

取り扱ったことのないものを仕入れるのはとてもリスクがあるのでそこは少し考えましたが、
もしかしたら被災された方々の少しでも役に立てるかも?という思いと、
電話越しに代表の方の誠実さがめちゃめちゃ伝わってきましたので、
私でよろしければ…という思いでそのときは200枚仕入れさせて頂きました。

少しでも被災地の雇用の役に立てたのかな?
この指掛けを使ってくださる方は喜んでくださるかな?と少し不安でしたが、
いろんな方のご協力があって150枚くらいはすぐにご購入頂いて、ありがたいことに何件かリピートも頂きました。

それから時間は流れて…
つい先日、プロジェクトを解散されるということで代表の方からご丁寧にご連絡を頂きました。

わずかな時間でしたがお話を改めてお伺いし、
プロジェクト伝様がつくられた価値を、結(ゆい)としてより多くの方に伝えていきたいと感じたので、
この度BASEに出品することにしました。
残っている津軽用の指掛けを全て頂きましたので、350枚以上は確実にあります。

今考えると自分が最初に考えた被災地の役に立ちたい!というのはただのエゴだったのかも、とも思います。
それは結果論であり、役に立ったかどうかを決めるのはどこまでいっても相手なのですから。
とはいえ、
プロジェクト伝様がつくられた価値のあるものを、
大変な環境の中で文字通り一生懸命つくってくれた方がいたことを、
結(ゆい)を通して受け取って頂けたら大変嬉しいです。

どうぞ、よろしくお願い致します。

最後までお読み頂きありがとうございました。

三味線 結
布施 剛史