2019/09/15 23:44
いつもありがとうございます。
三味線 結(ゆい)の布施です。
中秋の名月は見ることはできましたか?
私はと言うと、思い出したように空を見上げた時間は見渡す限りの曇天でした。
神戸でも見られた方はいらっしゃったようですが、
こちらは見事な雲ばかりで逆に驚きました。
さて、前回も同じようなことを書いたわけですが、
日中は暑くても夜がまあまあ涼しいものですから、明日目が覚めたら秋になっていますよーに!と
願いを込めて就寝します。
(私は1年のうちで秋が最も好きです)
願いというよりもはや呪いに近いかも知れませんが、
やはりまあまあ暑くなりそうな朝の気配に現実逃避をしたくなる毎日を過ごしています。
皆様、体調は崩されていませんか?
はい、ここからタイトルにある本題です。
鼈甲撥の追加&鼈甲の現状について。
諸事情があり、BASEに載せるか迷っていたのですが、
想像以上にお困りの方が多いようでしたので載せることにしました。
追加とは、そのままなので詳しくは申し上げません。
どうぞよろしくお願い致します!
それよりも、鼈甲撥の現状について気になっている方が多いと思います。
例えば…
・鼈甲撥の値段が以前よりもかなり高くなっている…。
・和楽器屋さんに入荷しないと言われたけど実際どうなの?
・和楽器屋さんによって、同じような鼈甲なのに値段のばらつきが大きい…。
大きくはこんなところでしょうか。
実際に値段については多くのお問い合わせを頂きました。
現状、メーカーの話、和楽器の卸屋に勤めていた経験から、
BASEに載せるか迷っていた諸事情も絡めて、
知っている範囲でお伝えしていきたいと思います。
まずお値段について。
鼈甲撥の仕入れの価格が高騰しているのは事実です。
鼈甲も紅木や象牙と同じくワシントン条約によって輸入が制限されているので、
原則として今国内にある材料だけで何とかするしかありません。
年々材料屋さんから材料が少なくなっていく
↓
鼈甲の価値が上がる
↓
値上がり
すごーく分かりやすく申し上げるとこんな感じです。
これは鼈甲に限らず何でも同じですね。
じゃあどれくらい値上がりしたの?という話ですが…
自分が知り得るここ数年の間で、市場価格は3割~4割くらいは軽く上がっています。
5年前に真っ黒の鼈甲がついていて比較的安価な撥が3万円で販売されていたとすると、
今は5万円前後ということです。
実際に、当時和楽器屋さんに卸していた金額よりも、仕入値の方が高くなりました。
先述しましたが、これは国内で正規に流通している鼈甲撥の話です。
それだけ値上がりすると消費者の方が鼈甲撥を気軽に買えなくなるのでそれももちろん困るのですが…
我々業者としては入荷しなくなる方が遥かに困ります。
高騰しているのに、廃業される鼈甲屋さんもあります。
流通を考えると、高騰しているから…とも言えるんですけどね。
というわけで、値段が高くても、以前より数が少なくても、以前とものが違ったとしても、
今はまだ流通しています。
それから、和楽器屋さんによって値段のばらつきが大きいことについてですが…
これはいろんなことが考えられます。
シンプルに企業努力もあるでしょうし、
高騰する前に仕入れた撥を当時の値段のまま販売しているところもあると思います。
(考えにくいですが)
まあよそさんのことなので余計で不粋な詮索は致しません。
いずれにしても、
タイマイが異常に繁殖して甚大な被害を出した!
はい、ワシントン条約から解放!
という夢のようなことがない限り市場価格が下がることはまああり得ないでしょうね…。
鼈甲撥はもう貴重なものですから、ぜひ大事に使って頂きたいと思います。
最後までお読み頂きありがとうございました。
三味線 結
布施 剛史